創設

Img 国際連合廃棄物基金(UNIted nations WastE's Fund、略称UNIWEF)は1989年3月30日、現代表ゴペラ・ドーンによってカメルーンの首都ヤウンデで創設されました。当時、戦後復興の真っ只中であったカメルーンの経済状況は芳しくなく、ヤウンデの貧困率は80%を超え、初等教育すら十分に行われていませんでした。路上には住宅や飲食店から出た大量の廃棄物が溢れかえり、住民は非常に不衛生な環境下での生活を余儀なくされていました。1988年7月から約1ヶ月間ドーンはヤウンデの商業地を中心に清掃活動を行い、これが翌年のUNIWEF創設へと繋がっていきました。ベベ・マンガのAmioは、復興への祈りを込めた歌として、現在でも幅広い年代の人に愛されています。

            広がる清掃の輪

Img ドーンは大勢のボランティア活動員を率いて清掃活動を再開し、ヤウンデ中心部は見違えるほど綺麗になりました。廃棄物を感染源とする伝染病の発症率は大きく改善し、ヤウンデ市民の平均医療費は約40%も減少しました。ドーンは清掃活動を続けるとともに積極的に布教を行い、組織を固めていく中で会員数は3年間で約7万人にまで増加しました。清掃活動はヤウンデに留まらずドゥアラ・リンベなどの都市のほか、山間部の集落にまで広がっていきました。1992年には初めてコンゴの首都ブラザヴィルにて清掃活動を行い、当時のコンゴ共和国大統領パスカル・リスバより感謝状を贈られました。国境を越えてアフリカ中で活動するUNIWEFは全世界で注目され、1993年には日本でも活動の様子が中継され話題を呼びました。

苦難の連続

Img その後もUNIWEFは順調に勢力の拡大を続けましたが、1995年にカメルーン政府はUNIWEFを要監視団体として指定し、ポール・ビヤ大統領との対立が決定的となりました。政府から指定を受けたことで周辺国は次第にUNIWEFの活動に懐疑的になり、タンザニア西部で清掃活動をしていたドーンは国外追放処分を受けました。また、同じ頃ドーンに脱税疑惑が降りかかり(後に無罪判決が下る)、ドーンの世間における信用は失墜していきました。1993年に約8万人を数えた会員数は、掃除ブームの終焉も相まって1997年には約3万人にまで減少しました。活動範囲がアフリカ中に広がる中、活動費を捻出できなくなったドーンは借金に追われ、音楽家時代に住んでいた邸宅を手放すことになりました。

            ドーンの運命を変えた出会い

Img 会員数が低迷を続ける中、国境を越えて活動する巨大グループへと成長したUNIWEFの活動費を維持するのは難しく、ドーンは各地へ派遣した清掃員を引き下げ、活動を縮小する必要性に迫られていました。引き続き貧しい国々で清掃活動を続けたかったドーンは苦悩し、どうにかして財源を確保できないかと考えていました。そして1998年8月、転機が訪れます。ドーンが親戚からインド旅行をプレゼントされたのです。インドに降り立ったドーンを大きな出会いが待ち受けていました。そこでドーンが見たものは、子供たちが街に散らばるゴミを再利用して作ったおもちゃでした。子供たちの豊かな発想からアイデアを得たドーンは、帰国後すぐにゴミ焼却場を視察し、再利用できそうなものを子供たちのおもちゃに加工する準備を始めました。

どん底からの復活

Img ゴミを再利用するというアイデアは画期的なものでしたが、一筋縄ではいきませんでした。まず初めに、野菜などの生ゴミを溶かしておもちゃの形に加工する方法が採用されましたが、強度が不十分だったことや衛生面から敬遠され、売れ行きはかなり厳しい状況となっていました。次に、ドーンは建築廃材や廃棄された家具に着目しました。木材はノコギリで簡単に加工でき、子供たちのおもちゃだけでなく手作りの楽器、雑貨などの小物も人気を博しました。また、ゴミ処理にかかる費用も大幅に削減され、このビジネスは大いなる成功を収めました。これにより潤沢な資金を確保したドーンは活動を縮小することなく、UNIWEFの経営状況を見事に回復させることができたのです。2001年には活動範囲がアフリカ全土に、その翌年にはインドを含むアジアにまで広がり、UNIWEFは新時代へ突入しました。

            全世界浄化への誓い

Img 21世紀に入り、ドーンは各国の大統領と対話を重ね、清潔な世界を作るという共通の目標を確認してきました。2004年には、当時の国際連合事務総長コフィー・アナンと対談を行いました。ノーベル平和賞受賞者でもあるアナンは「清潔であることは人類にとって最も大切だ」と激励し、全世界浄化の使命をドーンに託しました。このことから2010年8月、パーンがノーベル平和賞を受賞しました。数多くの苦難とぶつかりながらも貫かれたドーンの信念は、今や世界中からリスペクトを受けています。私たちUNIWEFは、子供たちに清潔な環境で教育を受けさせるという目標の下に、もはや国境は存在しないことを知っています。この地球の未来のために、今こそ結束してゴミのない世界を作らなければならないのです。





inserted by FC2 system